外国人介護スタッフ受入支援事業

2015年、日本では介護職員が約38万人不足と言われ、人材確保が急務とされています。新卒採用の強化、高齢者と専業主婦の活用など施策を打ち出している施設もある中、「外国人材用」に関心を持っている方も多いのではないでしょうか。

介護職における外国人採用について、ご紹介します。

日本で働く外国人職員について

日本で働く外国人は、何らかの在留資格を得て仕事に就いています。「永住者」や「定住者」、日本人の「配偶者」となっている人は自由に仕事を選べますが、その他の在留資格では仕事内容や就労期間に制限が設けられています。外国人スタッフの長期雇用を考えるなら、彼らの取得している在留資格に注意する必要があります。

現在、介護職に関する外国人の受け入れ制度には①在留資格「介護」 ②EPA(経済連携協定)、③技能実習生の3種類があります。それぞれの違いと特徴を企画してみましょう。

 EPAにおいては2018年12月の時点でインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国から3,000人以上の介護福祉士候補者を受け入れ、500名以上が資格を取得しています。しかし介護福祉士国家試験の合格率はインドネシア人で62.4%、フィリピン人では36.0%であり、候補者の全てが介護福祉士になっているわけではありません。そもそもEPA本来の目的は「経済活動の連携強化」であり、就労期間も限定されているため、日本国内の人材不足を解消する制度ではないのです。

 

 

これに代わり人材確保につながると期待されている制度が、20179月より創設された在留資格「介護」です。社会福祉系の専門学校を卒業した留学生が、介護福祉士の資格を取得することで日本の企業への長期就労が許可されます。留学生の国籍を問わず、施設系サービスはもちろん、訪問系サービスやサービス付き高齢者向け住宅など介護業界の幅広い分野で働くことが可能です。

外国人採用では「定着に向けた支援」が必要

 介護職における外国人の受け入れが拡大する一方で、人材の離職・帰国も大きな課題となっています。家庭の事情で帰国する場合もありますが、「相談できる相手がいない」「職場の人とは仕事の話しかできない」といった悩みを抱えている例もあるようです。海外から日本にきた方たちは、仕事面はもちろん生活面でもさまざまな不安やストレスにさらされています。職場に馴染めるよう社内イベントを開催したり、外国人向けの相談窓口を設けたりするなど、積極的に生活支援を行い人材の定着支援を図りましょう。

また、個々の国の文化に対する配慮も必要です。イスラム教徒の方は食事や飲酒に制限があります。アジア出身の方であれば春節に合わせて長期休暇を希望する職員もいるでしょう。日本文化を理解してもらうだけでなく、相手の国の宗教や文化にも配慮し、企業として柔軟に対応する姿勢が求められます。

外国人介護人材マネージメント支援について

外国人介護者が職場に適応できるよう、受入サポーターとして職場に出向いて直接支援を行います。

 外国人介護者が新たに就職するに際しての支援だけでなく、雇用後の職場適応支援も行います。

 外国人介護者自身に対する支援に加え、事業主や職場の従業員に対しても、外国人介護者の職場適応に必要な助言を行い、必要に応じて職務の再設計や職場環境の改善を提案します。

 支援期間は、標準的には3ヶ月~半年ですが、1ヶ月~8ヶ月の範囲で個別に必要な期間を設定します。支援は永続的に実施するものではなく、受入サポーターによる支援を通じて適切な支援方法を職場の上司や同僚に伝えることにより、事業所による支援体制の整備を促進し、外国人介護者の職場定着を図ることを目的としています

支援内容

1.支援対象

✔外国人介護スタッフ(技能実習生 外国人留学生 在留外国人)

✔海外送り出し機関

✔技能実習生受入組合

✔介護施設

✔福祉教育機関(専門学校、大学)

 

2. 支援の内容

(1)支援計画の策定

 支援を必要とする外国人介護スタッフ、事業主との相談を通じて職場の状況などを十分把握し、双方の同意を得た上で、個々の状況に応じた支援計画を策定します。

 

(2)サポーターの発遣

 外国人介護人材サポーター協会は、支援計画に基づいて、外国人介護人材サポーターを職場に派遣して支援を実施します。

 

(3)サポーターの行う支援

●外国人介護スタッフへの支援例

仕事に適応する(作業質を上げる、利用者と同僚の間の誤解を減らす)ための支援

人間関係や職場でのコミュニケーションを改善するための支援

●事業主への支援例

外国人を適切に理解し配慮するための助言

仕事の内容や指導方法を改善するための助言・提案

●送り出し機関、受入組合への支援例

外国人介護スタッフの職業生活を支えるための助言

 

(4)支援期間

 個別に必要な期間を設定しますが、標準的には3カ月~半年を想定しています。

 

 

(5)支援終了後のフォローアップ

 支援終了後も、必要なフォローアップを行います。